令和6年4月より介護施設の口腔衛生等管理体制の整備が義務化されます
医療法人社団 鈴木歯科クリニック
院長 鈴木 喜之
令和3年度介護保険改定で介護施設における「口腔衛生管理体制加算」が廃止されて、3年の経過処置期間の後、令和6年4月より介護施設の口腔衛生等管理体制の整備が義務化されます。これまで介護施設に求められてきた「口腔ケア」は「口腔衛生管理」に変更されました。ブラッシングなどは口腔衛生管理中心であった「口腔ケア」から摂食支援などの要素を取り込んだ「口腔衛生士管理」への改正です。
厚労省通知(老認発0316第3号等)によれば、「介護保険施設における口腔衛生等の管理は、利用者の口腔の健康状態に応じた効率的・効果的な口腔清掃等が行われるだけでなく、摂食・嚥下機能の維持・向上、栄養状態の改善等にもつながるものである」と規定されました。
なぜこのような令和3年度介護報酬改定がされたかですが、大方針としては多職種連携による「リハビリ・栄養・口腔の一体的な実地」です。これを口腔機能管理の観点からみると、口腔衛生管理だけでは低栄養・脱水・誤嚥性肺炎など予防することは困難であり、リハビリ、栄養・口腔の一体的な実地による積極的な摂食支援を行うことにより、食べることができれば、栄養を効率的に摂取でき、リハビリもさらに効果的になることが期待でき、更にフレイルの予防ができて自立介護へと繋がっていくからです。
鈴木歯科クリニックが訪問歯科診療を行う理由
私は高齢者歯科講座(当時は全部床義歯学講座という総入れ歯を専門にしていました)に6年半在籍していました。
ですので、もともと高齢者に関わることが多かったのですが、訪問診療は限られた器具を用いての診療になるので、患者様が安心、安全に治療を受けていただくことに不安があり躊躇していました、ですが、平成31年春に介護施設で父を亡くしたことがきっかけで訪問歯科診療に関心を持つようになりました。
父の時には何もできなかった私ですが、「高齢者の方にはしっかり食事とって欲しい!」と強く思うようになりました。施設の方やご家族の方はいつも忙しく、食事、排泄、睡眠、身の回りの世話などで大変な思いをされています。高齢者のお口の中を快適にするには「歯科的な治療や日々の口腔内清掃、そして摂食、嚥下に関わる食事がしっかりとれる事」がキーになります。
鈴木歯科クリニックは高齢者ご本人や介護をされているご家族の「お口の困りごと」に寄り添いたいと思います。
例えば
- 「入れ歯を痛がって使用しないから食事はきざみ食になっている」
- 「唾液が出にくくなったおばあちゃんのお口の手入れって、どうすればいいの?」
- 「おじいちゃんのお口の中が汚れていて臭う」
- 「誤嚥性肺炎にならないかしら?」
等々たくさんあると思います。
歯の痛みがなくても、お困りごとに寄り添い、解決できるようになりたいと考えています。 飲み込みのこと、普段の歯磨きのやり方の相談など、なんでも構いません。是非、お声をかけてください。体も口の中も清潔でいることは高齢者ご本人もご家族も介護される方もみんながうれしく思う事です。口の中が快適になると食欲が出て、体の調子も良くなってくるので、他のお困りごとも解決するかもしれません。
ご家族の方は「歯科医師を自宅に呼ぶのはちょっと恥ずかしい・・・」とか思われるかもしれませんが、まずは高齢のご両親のことを一番に考えてください。 そして歯科医師や歯科衛生士にご相談ください。最善のプランを一緒に考えていきたいと思います。 介護をされている方の歯科医院へ連れてくる時間的、体力的なストレスを少しでも軽減していただきたいと思います。
鈴木歯科クリニックの訪問歯科の今と昔
数年前の鈴木歯科クリニック
口の現状の回復(治療=キュア)
- ①虫歯の治療
- ②歯を抜く
- ③入れ歯を作る
- ④入れ歯の調整
現在の鈴木歯科クリニック
機能の回復(予防=ケア)
- ①お口の中のバイ菌を減少させる
- ②食塊形成できるお口にする。
- ③摂食支援を行う。
- ④専門的な口腔ケアを行う。
今までの訪問歯科診療は不具合が出た時にお伺いして、治療をするということが普通の訪問歯科診療でした。
鈴木歯科クリニックの訪問歯科診療は歯科治療だけでなく、専門的な口腔ケアや摂食支援に力を入れております。
特に摂食支援は専門に学んだ歯科医師しかできない分野だと感じております。 当院では口腔ケアを行っている利用者様の食事場面を多職種で観察させていただき、実際のお食事の摂取状況から咀嚼能力・口腔機能・嚥下機能・姿勢などに関して共有しております。
また当院の院長は入れ歯専門の医局出身のため、入れ歯の作製や調整も経験豊富です。
誤嚥(ごえん)とは?誤嚥性肺炎の原因・症状・対策
誤嚥
食物などが、なんらかの理由で、誤って喉頭と気管に入ってしまう状態を誤嚥(ごえん)と呼びます。
誤嚥性肺炎とは、この機能が鈍ることで排出できなかった異物が肺に入ったままになってしまい、肺の中で炎症が起こることを言います。加齢によって、噛む力が弱くなったり、舌を動かす筋肉が衰えたりすることで、食べ物を飲み込む嚥下機能が低下する高齢者に多く起こり、70歳以上の肺炎の約80%が誤嚥性肺炎と言われています。
胃に直接チューブを入れて栄養を送り込む経管栄養を行っている人でも起こります。
原因
誤嚥の原因として、通常は気管に食べ物などが入ってしまった場合、むせることで気管から異物を排出する反射機能が働きますが、加齢や筋肉、機能の衰えによりフタをするタイミングが遅れるからとも言われています。
誤嚥性肺炎の症状・リスクが高い人
発熱、激しい咳、膿のような痰が特徴的な症状だが、高齢者の場合はこのような典型的症状が見られないことも多く、気づいたときには肺炎が進行していたというケースもあります。 リスクが高い人として、何となく元気がない、ボーっとしている、食事に時間がかかる、飲み込む前後にむせたり咳き込んだりする、口の中に食べ物をためてなかなか飲み込まないなどといった様子が見られたら、誤嚥のリスクが高くなります。
対策
高齢者、認知症の人、神経疾患などで寝たきりの人は口腔内の清潔が十分に保たれていないこともあり、口腔内で肺炎の原因となる細菌がより多く増殖しています。
また、食べ物などの誤嚥の他に、口の中や喉の粘膜にすみついた細菌を含んだ唾液の誤嚥や、寝ている間に胃と食道の逆流によって胃酸を含んだ胃の内容物を誤嚥して起こることもあります。
対策としては、口腔内の状態を清潔に保つことが大切です。
また誤嚥しても反射できる状況を維持していくため、口腔機能が低下しないように歯科衛生士による機能訓練での定期的運動を行っていくことも大切になります。
なぜお口の中をきれいにする必要があるのか?侵襲と抵抗の概念とは?
お口の中にはたくさんの細菌・微生物がいます。 その細菌・微生物の種類によっても、お口の中の状態や身体的状態にも大きく関係してきます。
一般的に歯周病菌と言われている細菌は10~20種類あると言われており、歯周病になると細菌数は1000倍以上にもなるとも言われています。
特に歯周病菌は誤嚥性肺炎だけでなく、糖尿病、動脈硬化、骨粗鬆症、脳梗塞、狭心症などの他に、認知症とも深く関係しています。
歯周病にかかっていると、口の中の菌が歯ぐきから血管内に侵入し、脳まで流れ着いて、小さな脳出血を引き起こします。その結果、神経細胞がダメージを受けて脳血管性認知症を引き起こすと言われています。
口腔ケアや機能訓練で、誤嚥の回数・口の中の細菌の数を減らし、
摂食支援で、体力や免疫をつけて抵抗を増やすことが大切です!
口腔ケアの大切さは知っている!わかっている!けど、、、
介護職員の方にお話をお聞きすると、介護現場では日々忙しく、口腔ケアをしてあげたくても、時間内に優先すべき仕事がたくさんあり、口腔ケアは後回しになってしまうことや、手が回らないとおっしゃっていました。それでも職員の方はお口の緊張をほぐすマッサージの方法や舌苔をきれいにするための方法をYouTube動画で学んだという話も聞きました。
大変な仕事だからこそ、多職種で連携していけたらと考えております。歯科では口腔ケア・機能維持・摂食支援という得意分野を活かし、施設職員の方々と協力し、利用者さまのお口の健康から心体の健康まで一緒に見守っていきたいと思っております。
口腔ケアとは?
- お口の中の細菌を除去して清潔にする
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経口摂取していない人にも重要!
口の中の汚れは食べかすではなく、細菌の塊です。
口腔ケアで細菌数を減らしていくことも大切になってきます。
また経口摂取していない人もお口の中はとても汚れているため、口腔ケアは重要です。 - 汚れの回収
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普通に歯磨きするだけではなく、掃除したあと、お口の中に汚れを残さないようにきれいに回収することも大切です。清掃時も細菌を含む唾液を飲み込まないように気をつけながら行います。
- 保湿などで、口腔環境を整える
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高齢になるにつれて唾液が減少し、乾燥した状態が多くみられます。乾燥すると潤滑効果がなくなるため乾燥して傷になったり、血が出やすくなったり、お口の痛みを感じやすく、トラブルも増えます。
保湿剤を使用し、口腔内マッサージや唾液腺マッサージを行うことで口腔環境を維持し、整えます。 - 鼻腔の汚れが呼吸を妨げてないか確認
- 誤嚥による侵襲を上回る抵抗があれば、誤嚥性肺炎にはならない
- 侵襲を減らすために、食事支援、嚥下訓練で誤嚥の量を減らし、口腔ケアで誤嚥の内容をきれいにする。
鈴木歯科クリニックが訪問歯科診療を行うことで大切にしていること
最優先すべきことは高齢者のご体調とご病気をしつかり把握することです。かかりつけ医師への問い合わせや情報提供も行いますので、歯科治療をおこなう上でのリスク回避を最優先します。安心、安全で歯科治療をおこなうことで、ご本人様、ご家族、施設の方にご満足いただけるよう努めます。
鈴木歯科クリニックだからできること!!
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① 摂食嚥下
口から食べる・咀嚼することこそ健康に繋がります。 利用者様とご家族の喜びに!働く皆様のご負担の軽減に!
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② 口腔周囲筋マッサージ
口まわりの筋肉が固まると、うまく口が開けられなくなります。そこでマッサージにより、筋肉が解されると口が開けやすくなるだけでなく、唾液も増えます! すると、お食事の際の開口が楽になることや、入れ歯の痛みや傷も楽になる効果もあります◎
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③ 口腔内の清掃・治療(入れ歯*虫歯*何でも診ます)
口の中の汚れが溜まっていると誤嚥した際に、菌による感染が危険です。今“新型コロナウイルス”の脅威があるからこそ、正しい清掃が誤嚥性肺炎のリスクを下げることだけでなく、口腔内の細菌除去により免疫力の向上に繋がります!
※健康=健口です。今この時だからこそ皆様のお体を守るお手伝いをしたいと思います。
私達は、セミナーに行き知識だけでなく、実際に体験を行い学び実践しております。
より多く利用者様、そしてご家族の皆様、施設で懸命に働く皆様の為、お力になりたいと日々精進してまいります!!
診療可能地区
鈴木歯科クリニックから半径16km以内にお住まいの方
対象地区 | 山形市 天童市 寒河江市 上山市 中山町 山辺町 山寺地区 蔵王地区 |
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訪問歯科診療で行う歯の治療の具体例
- 1入れ歯の調整(痛みのある所や傷のある部分に強く接触している入れ歯を削ります)
- 2虫歯治療(むし歯の穴を塞ぎ、痛みを無くします)
- 3抜歯(尖った歯や痛みを訴える歯を抜きます)
- 4口腔内清掃(食物残渣で汚れている口の中をスッキリできるように清掃します)
- 5食事をしっかりとっていただくための摂食・嚥下指導(飲み込みや飲み下し)
お申し込みと診療の流れ
お申込み
お申し込みは鈴木歯科クリニック023-626-1855へ御電話ください。 ご本人様でもご家族や介護者からでもお申込みも可能です。
ヒアリング・治療計画の提案
ご自宅・施設に伺い、患者様の状況確認を行います。そして、ご家族、ご本人、施設に関わる方やケアマネジャーから聞き取りを行い、治療内容のご提案を行います。(具体的な治療内容と期間や費用のご説明をいたします。)
治療の開始
医療保険証もしくは介護保健証をご用意下さい。(診療時間は30分前後です。) ご希望があれば、歯科治療後に歯科衛生士による口腔内清掃を行います。患者様の体力的なご負担があるようであれば、同日ではなく後日、口腔内清掃に伺います。(口の中を快適な状態を保つためのお手入れ方法の説明と歯科衛生士による清掃を行います。)
次回の訪問日の決めます
お申込者様とご相談の上、次回の訪問日と時間を決めます。
注)食事をしっかりとっていただくために、ご希望があれば歯科診療や口腔内清掃とは別に摂食・嚥下指導(飲み込みや飲み下し)を行います
また、ご家族のお悩みにもお答えしますので、遠慮なくご質問ください。
まずは初回検診のご来院をお待ちしています!!
最近口腔内を診ていない利用者様、かかりつけ医がいない利用者様、
“何か起きるその前に気付きたい”という想いです!
~検診内容例~
- お口の清掃状態の確認
- 虫歯の確認
- 入れ歯の使用、入れ歯の具合確認
- 口腔周囲筋の緊張が見られないかどうか(開口状況の確認)
- 摂食嚥下にお困りがないかどうか
1人ひとり、お口の状態は違います
ご本人にお困りがあるかどうかお伺いしながら、私達歯科医療従事者として実際に診ることでおこなった方が良いことがあるかどうか、 まずは皆様にご提案を致します。
無理にオススメは致しません!!
しかし、健康の為に繋がるのであれば、お手伝い出来る事を全力でサポート致します!
治療の場合
お口等の状態 | ・入れ歯の具合が悪い ・歯茎がある ・歯が痛い・折れた等 |
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内容内訳 | 訪問歯科診療費(+診療補助) 入れ歯や虫歯の治療費 |
治療費 | ◆医療保険にて(1割にて) 約¥1,500~2,000 |
口腔ケアの場合
お口等の状態 | ・お口の清掃状態の改善 ・口腔周囲筋のこわばりがある ・唾液量が少ない |
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内容内訳 | 訪問歯科診療費(+診療補助) 口腔内清掃、管理指導(ケア) |
治療費 | ◆介護保険にて(単位にて) 約¥2000 |
摂食嚥下の場合
お口等の状態 | ・上手く食事がとれていない ・姿勢や角度の改善が見受けられる |
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内容内訳 | 訪問歯科診療費(+診療補助) 摂食指導、管理指導 |
治療費 | ◆介護保険にて(単位にて) 約¥2000 |
ケアマネージャー様へ
利用者様のお口の状態もご負担になる治療費もどちらも気になるところかと思います。 目安となりますが、ご参考にして頂けましたら幸いです! コロナウィルスの猛威にて外部接触を控えている時こそ、医療従事者として出来ることに特化し、お力になれたらという想いです!
お困りを我慢することなく、小さな変化やお悩みもお気軽にご相談下さい♪ ウイルスに負けず、口腔内の衛生から守りましょう(*^^)v
※訪問時にはマスク着用だけでなく、滅菌器具、消毒アルコールを用いて、出来るだけ少人数にてお伺い致します。
お電話お申込み受付
お申込み受付時間:9時30分~16時
休診日:日・祝日
お申込み電話番号 023-626-1855
担当佐藤までご連絡下さい。